全国の15歳未満人口である年少人口は1,508万人で、過去10年で11%減少しています。都道府県単位で増えたのは、タワーマンションの増加などで都心部を中心に人口流入が続く東京都の3.3%増のみです。残る46道府県は軒並み減少しています。減少率が最も低い沖縄県で1.7%減、最下位の秋田県は24.5%減と厳しい少子化に直面しています。
一方、市区町村別でみると37都道府県の計148自治体が子どもを増やしています。教育に独自色を打ち出すことで移住を促し人口減にあらがう地域が出てきています。出生率の大幅な向上が見込みにくい中、豊かな自然の特色を生かしたり、海外の方針を導入したりと、教育移住により人口が増えています。
年少人口を増やすまでに至らなくても、ユニークな教育を打ち出す自治体は求心力を強めています。文部科学省の指定を受け、独自教育に取り組む教育課程特例校が、多いほど、転入者数が増える傾向がみられます。理想の教育を地方で実施しようとする取り組みは、足元でさらに加速しています。国際教育に力をそそぐ学校の設立も相次いでいます。教育移住が新たな呼び水となり、地域再生を目指している市区町村が増えてきています。
(2021年10月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)