文部科学省の調査によれば、2020年度に30日以上登校せず不登校とみなされた小中学生は、前年度より8.2%増の19万6,127人で過去最多でした。小中高校から報告された児童生徒の自殺者数も、415人で最多でした。コロナ禍による一斉休校など生活環境の変化で、多くの子どもが心身に不調をきたしたことが浮き彫りになっています。
不登校生は8年連続で増え、主な要因は、無気力、不安が46.9%と最多で、生活リズムの乱れ、あそび、非行が12.0%を占めています。また不登校ではないものの、コロナ感染を避けるため30日以上出席しなかった小中学生は、2万905人いました。不登校の増加については、一斉休校や分散登校などにより、生活リズムが乱れやすく、学校では行事なども制限されて登校する意欲がわかなくなったと思われます。
自殺者が置かれていた状況では、家庭不和や精神障害、進路問題や父母らの叱責があったことが目立っています。コロナ禍で、貧困や虐待など家庭環境が脆弱な子や、精神疾患や発達に偏りがある子などが、精神的に不安定な状態になっています。自殺については、友達や先生と話す機会が減り、思春期の心の揺れがより激しくなって、うつなどを引き起こす例が増えたことが影響していると考えられています。周囲の大人が、子どもの気持ちをわかろうと努力し、どうしたらいいか一緒に考える姿勢をもつことが、子どもの命を救うことにもつながると思われます。
(2021年10月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)