コロナ禍での病院の黒字拡大

政府は、コロナ患者のために新規に病床を確保した医療機関への補助を2020年12月に始め、1床につき最大1,950万円を支給しています。財務省の分析では、2020年度の医療機関のコロナ補助金の受取額は、平均で10億1,000万円でした。補助金を含めた収支は、平均6億6,000万円の黒字であり、感染拡大前の2019年度の2,000万円と比べると、大幅に収支が改善しています。
2020年度は受診控えなどもあり、売上高に相当する医業収益の平均が94億9,000万円と前年度から3億円超減りました。一方で人件費などの費用は、1,000万円増の98億4,000万円でした。この結果、コロナ補助金を加味しないと収支は3億5,000万円の赤字で、補助金が業績を下支えしています。
140ある国立病院のコロナ補助金を含めた平均利益は、2019年度の22.5倍の4億5,000万円で、利益率は0.3%から5.9%になっています。コロナ患者を受け入れたのは94病院です。病床確保などのコロナ補助金は総額980億円でしたが、患者を受け入れた病院向けは947億円でした。患者を受け入れた国立病院の中で、2019年度からの利益率の改善幅が最も大きい病院は43.5ポイント良くなり、6.7ポイントという平均的な上昇幅を大きく上回っています。

 

(2021年10月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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