わが国の女性は結婚しないと子どもを産まない状況にある。OECD(経済協力開発機構)34カ国の中でも婚姻外出生時比率は韓国とともに最も低率である。嫡出でない子どもの出生数は全出生数の2%以下であり、50%を超えるヨーロッパの国々と比べると極端に少ない。
わが国のように経済的支援が得られず、女性がひとりで子どもを産んでも育てられないよう状況では婚外子の養育は困難なことが多い。深刻化する養育困難の実態が、政策の立案や決定に関わる人々に認識されていないことも問題である。筆者は決してシングルマザーを推奨するものではないが、今後は彼女たちへの支援が必要になってくると思われる。たとえば現在、シングルマザーたちの所得税は未婚の男性が支払う額と同じであり、税制上の負担軽減、ならびに出産や子育てのための公的支援が考慮されてしかるべきである。加えて、シングルマザーを社会的に受け入れるための文化醸成も欠かせないのではないだろうか。
(吉村 やすのり)