国連環境計画は、各国が定めた温室効果ガスの削減目標を達成しても、今世紀末には産業革命前から気温が2.7度上がるとする報告書を公表しています。パリ協定では、気温上昇を2度よりかなり低く、できれば1.5度に抑えるとしていますが、その道のりは遠くなるばかりです。
報告書によれば、9月末までに更新された目標を達成すれば、2030年時点で従来より7.5%減りますが、それでも現在の排出量とほぼ変わりません。温暖化予測の気候モデルで計算すると、今世紀末の気温上昇は2.7度になるとしています。日本を含む50カ国・地域が表明している実質排出ゼロを達成できても、2.2度に達します。
パリ協定では、島国など温暖化被害を受ける国に配慮した努力目標でしたが、国連気候変動に関する政府間パネルの報告書で、2度に抑えても熱波や洪水などの影響が極めて深刻になることが科学的に示されています。
(2021年10月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)