風邪に抗菌薬は効かない

国立国際医療研究センター病院の調査によれば、風邪症状があっても学校や職場を休みたいが休めないと答えた人は24%でした。2年前の39%から大幅に減っています。新型コロナウイルス感染症の流行で、体調が悪い場合には休むという意識が社会全体に広がってきました。風邪症状がある場合、学校や職場を休むと答えた人も、37%から51%に増えています。
抗菌薬は細菌に効きますが、風邪やインフルエンザの原因になるウイルスには効きません。しかし、国内では軽い風邪でも受診することが多く、風邪と他の細菌感染との区別が難しかったり、患者が薬を求めたりして、抗菌薬が処方されることが課題となってきています。抗菌薬を使うほど菌は耐性化しやすく、耐性菌の拡大が世界的な問題になっています。国内では、主な2種類の耐性菌だけで、年8千人が死亡しているとの推計もあります。
今回の調査では、抗菌薬はウイルスをやっつけるかという質問に、あてはまらないと正解したのは18%に過ぎません。抗菌薬は風邪にきかないと正解したのも、25%にとどまっています。特に若い世代で、抗菌薬が風邪に効くと思い込んでいる人が多くみられます。欧州28カ国の調査では、抗菌薬が風邪に効くかという問いの正答率は66%でした。国別では、スウェーデンが85%、フランス、イギリスが78%、イタリアが70%です。正答率が最も低かったポルトガルは37%で、日本の25%より高い水準でした。

(2021年10月29日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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