欧州では、妊娠を望む女性がドナーの精子を求めて外国に行くケースが増えている。欧州では、AIDで生まれた子どもに対して出自を知る権利を認める国が多く、以前は無精子症などの男性不妊のカップルが、ドナーの精子を求めて規制の緩やかなデンマークに行くことが多かった。しかし、最近では独身女性や同性カップルが精子を求めるケースが増加しているという。
わが国においては、AIDで生まれた子ども達の近親婚を避けるために、同一ドナーから生まれる子どもは10人までとしている。デンマークには精子提供が商業主義的に実施されており、巨大な精子バンクが存在する。ドナーや髪や目の色、身長、職業などに応じて精子を選ぶことができ、値段もまちまちである。欧州ヒト生殖医学会の調査によれば、精子や卵子を求め、利便性や規制の少ない国への生殖医療ツーリストは年々増加しているという。
(生殖医療と生命倫理:吉村泰典)
(吉村 やすのり)