新型コロナウイルス感染症の後遺症

新型コロナウイルス感染症の予防に関する国内外の知見が蓄積し、患者に使える治療薬も増えてきました。治験薬として、抗ウイルス薬のレムデシビルが、昨年5月に最初の治療薬として特例承認されました。その後、炎症を抑えるステロイド薬などと併用するなどして、治療成績は上がってきました。
昨年6月以降の全国の入院患者の死亡率は、軽症・中等症患者は1.3%、重症患者では9.8%となり、治療法が確立されていなかった第1波の時期からほぼ半減しています。その後も、抗体カクテル療法を始めとする軽症・中等症患者向けの中和抗体薬を使えるようになり、年内にも国内で飲み薬が使えるようになるとの見通しもあります。患者の重症化予防や治療は、大きく進展しています。

治療が進歩しても、後遺症の問題は深刻です。新型コロナから回復しても、倦怠感や味覚・嗅覚障害などの後遺症に長期間苦しむ人がいます。新型コロナから回復した457人を対象にした調査によれば、感染者の4人に1人、1年後も少なくとも約1割に、何らかの症状が残っています。新型コロナの発症時はそれほど大きな症状はなくても、回復から数か月を経て、うつ状態や集中力、記憶力などの障害が出てくるケースもあります。

(2021年11月12日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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