膵臓がんの危険因子

国立がん研究センターの報告によれば、膵臓がんの5年生存率は8.5%と、他の臓器がんに比べて極端に低率です。これは膵臓が検査しにくい場所にあり、がんの初期には自覚症状がほとんどなく、発見が遅れるためです。症状が出てからの進行は早く、手術も難しくなります。
膵臓がんにはさまざまな危険因子がありますが、家族歴や遺伝的要因が深く関わっています。糖尿病の悪化や発病は膵臓がんのサインかもしれません。肥満や大量の飲酒習慣も危険因子で、軽い膵炎を繰り返す時は、膵臓にがんが隠れていることもあります。さらに家族に乳がんや卵巣がんが多い人は、膵臓がんの一定のリスクがあります。
予後の悪い膵臓がんでも早期発見が大切です。腫瘍径が10㎜以下ならば、10年生存率は70~80%とされています。しかし、この段階では全く症状はありません。早く見つければ治癒は十分可能であり、検査用の超音波内視鏡の普及や抗がん剤と手術、放射線を組み合わせた集学治療の進化もあり、治療成績向上の機運が高まってきています。

(2021年11月20日 岐阜新聞)
(吉村 やすのり)

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