国立がん研究センターの発表によれば、2020年にがんと診断された登録数が2019年より約6万件減少しています。集計を始めた2007年以降、登録数が減少するのは初めてです。特に自覚症状の少ない初期段階の患者が大幅に減少しています。新型コロナウイルスの流行で検診や受診が減ったことが影響しています。
ごく初期の上皮内がんを含め2020年にがん登録されたのは、863施設で計約104件です。全国の新規患者の7割以上をカバーしています。2019年に比べると、減少率は施設平均で4.6%です。594施設で計6万409件の登録数が減っています。部位別でみると、男性では胃、大腸、女性では乳房、胃の登録が特に減少しています。
2020年では、胃がんで最も初期となる1期の登録数が前年より15.3%減っています。その他の部位も早期の登録数が減る傾向がみられています。早期がんは自覚症状が少なく、定期的な検診や病気で受診した際に見つかることが多くなっています。新型コロナ対策で初めての緊急事態宣言が発令中だった2020年5月に、検診や受診をきっかけにがんが発見される患者が激減していました。
(2021年11月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)