政府は、新型コロナウイルスの水際対策を巡り、全世界からの外国人の新規入国を原則停止すると発表しています。新たな変異型であるオミクロン型の世界での急拡大に備えます。水際対策とは、政府が新型コロナウイルスの国内での感染拡大を防ぐために実施する出入国管理措置の総称を言います。外国では、一般的にborder controlと呼ばれます。海に囲まれた島国である日本の場合、国内では国境でなく水際対策と通称しています。
出入国在留管理庁による入国制限や、厚生労働省が実施する検疫強化が中心となります。入国制限策にはビザ発給の制限などが、検疫強化策には入国時の検査や入国後の待機措置、ワクチン接種証明書の活用などがあります。30日午前0時から適用し、当面1カ月間は継続します。帰国するすべての日本人にはワクチン接種者を含め、14日間の自宅などでの待機を求めます。
2020年2月に、中国の武漢周辺などに滞在歴のある外国人らの入国を拒否して以降、対象地域を広げたり狭めたりして対応してきました。入管庁によれば、2020年の外国人入国者は前年比で86%減りました。2021年上半期は、前年同期に比べ96%減の14万人ほどでした。政府は外国人の新規入国を原則停止していましたが、11月8日から条件を緩和しました。
(2021年11月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)