心身の反応とは

子宮頸がんワクチン接種後に生ずる慢性疾病や運動障害は、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会が、「心身の反応」によるものであるとした。心身の反応という語は、医師の間ですら誤解されていることが多く、一般の方々にはわかりにくい語である。

心身の反応は機能性身体症状ともいわれ、原因に心理的要因があるのではなく、症状の原因や経過に心理・社会的要因が影響しているものである。心身の反応は身体疾患であるが、明らかな病気がある器質的疾患でなく、機能性疾患である。

疼痛を主体とする病態の臨床所見は多彩であり、一つの病気とは限らない。ワクチン接種後の副反応には、器質的な明らかな病気の存在はなく、通常筋力の低下がないのに歩かないなどのことはありえない。しかしながら、副作用を訴える症例すべてが心因性とは言えない状況がある。これらのことより心因性ではなく、心身の反応とされた。

思春期の女性は月経時に疼痛を訴える。これを医学的に月経困難症と呼び、子宮内膜症などの明らかな病気がある器質的月経困難症と、明らかな病気が同定できないものを機能性月経困難症に分類される。機能性月経困難症のすべてが心因性とは考えられないが、器質的な病気を見つけられない場合もありうる。しかしながら心因性の場合も含まれている。機能性月経困難症も一種の心身の反応と呼んで良いかもしれない。

(吉村 やすのり)

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