オミクロン株の最大の特徴は、ウイルス表面から突き出たスパイクたんぱく質の変異の多さです。たんぱく質の部品となるアミノ酸の変化した部分が30超えあります。アルファ株やデルタ株など、WHOがこれまでに指定した懸念される変異株(VOC)では、いずれも10前後でした。スパイクは、新型コロナがヒトの細胞に侵入するために必須です。今のワクチンの攻撃対象もスパイクであり、スパイクが変われば、感染力が増したり、ワクチンの効果が下がったりする恐れが出てきます。
しかし、オミクロン株に関する情報はまだ乏しく、WHOの最新の知見でも、感染力や重症化のしやすさについては評価です。新型コロナワクチンをつくる欧米の製薬各社は、オミクロン株への対応を急いでいます。
米モデルナは、今あるワクチンがオミクロン株にも有効かどうか調査している段階です。オミクロン株向けワクチンの臨床試験は、60~90日で始められるとしています。米ファイザーも、独ビオンテックと既存のワクチンがオミクロン株に有効か調べています。オミクロン株に関する情報はこれから出てきます。脅威がそれほどでもないなら、臨機応変に対策を見直す姿勢も重要です。
(2021年11月30日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)