政府が、雇用対策として企業などに支給する雇用調整助成金のコロナ下での支出が、5兆円の大台を超えました。コロナ対応で、雇用調整助成金を拡充した昨年春からの累計の支給決定が約535万件、金額は5兆462億円になったと公表されています。
昨年4~10月の完全失業率の平均が5.5%になるところを、昨春に拡充した雇用調整助成金を中心とする支援策で2.9%に抑えられています。しかし失業を食い止める効果はある一方、弊害も目立ってきています。事業者が休業中の従業員をシフトに入れようとしたところ、同じ金額がもらえるので休業にしてほしいと言われ、事業者が雇用調整助成金を申請するような事例が増えてきています。
雇用調整助成金の見直しは、今秋の衆議院議員選挙前にも検討されましたが、投票行動への影響を懸念する声があり、選挙後に持ち越されました。政府には、雇用調整助成金の効果と負担、経済再開への影響を見渡した対応が求められています。
(2021年12月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)