京都大学のグループが、老化とともに衰える神経細胞の元になる神経幹細胞を遺伝子操作で若返らせ、マウスの認知機能を改善することに成功しました。
脳にある神経幹細胞は、胎児の間は活発に増殖して神経細胞を増やしますが、老化とともに増殖する力がなくなっていき、認知機能も衰えてしまいます。研究グループは、胎児でよく働いている遺伝子80種類のうち、神経幹細胞を活性化させる作用が強い遺伝子を突き止めました。さらに老齢マウスの神経幹細胞でよく働いている遺伝子を抑えると、神経幹細胞を活性化できました。
胎児脳で見つけた遺伝子を活性化させ、老齢マウスで見つけた遺伝子を抑制すると、増殖能力をほぼ失っていた神経幹細胞は活性化し、3カ月以上増え続けました。遺伝子操作したマウスは、老齢でも認知能力が改善することが確かめられています。この方法をiPaDと名付け、今後は霊長類で確認する予定です。
(2021年12月16日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)