各診療科における医療費の伸び率

厚生労働省によれば、2020年度の医療費の概算は42.2兆円です。感染拡大が影響し、過去最高だった前年度の43.6兆円から1.4兆円も減っています。減少は4年ぶりで、落ち込み幅は過去最大です。診療所の医療費を診療科別にみると、産婦人科以外はいずれも減っています。小児科が22.2%減と最も大きく落ち込んでいます。
コロナ対策で手洗いやマスクの着用などが徹底され、小児科では他の感染症にかかる頻度が低くなっています。ちょっとした風邪では受診しないようになり、受診控えも多くなっています。また小児科では、子どもを連れた保護者から、育児で感じる不安も同時に聞き取ることが多くみられます。皮膚の発疹や言葉の発達の遅れ、食事や睡眠といった生活習慣など内容は幅広いのですが、こうした相談の機会が減っています。
小児科の受診控えの状況に配慮して、昨年12月からは6歳未満の外来患者を診察する際に感染防止策を講じている場合には、国が定める医療サービスの価格である診療報酬を1千円上乗せする特例が設けられています。政府内では来春に予定する2年に1度の診療報酬改定を前に、感染拡大の影響を受けた小児科医院などへの配慮がどの程度になるのかが注目されています。

(2021年12月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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