政府が決定した2022年度予算案においては、医療や介護などの社会保障関係費が、2021年度当初比で4,393億円の1.2%増の36.2兆円で過去最大となりました。高齢化で膨らむ社会保障費と、巨額借金の返済でかさむ国債費の合計は初めて60兆円を超えています。社会保障費は2022年度予算の一般会計総額の3割を占めています。
2025年には人口の多い団塊の世代の全員が75歳以上の後期高齢者になります。医療や介護、年金などにかかる社会保障給付費は、2025年度に140.2兆円~140.6兆円と、2018年度比で15%程度増えます。制度改正などで高齢化による自然増を一定程度抑えていますが、膨張に歯止めがかかりません。構造的な支出への切り込みは不足しており、2025年度の財政健全化目標の実現も綱渡りの状況にあります。
(2021年12月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)