ヤングケアラーに対する支援

ヤングケアラーとは、大人に代わり、家事や家族の世話などを日常的に行っている子をさし、日本ケアラー連盟では、18歳未満と定義しています。国が2023年度に創設するこども家庭庁は、子どもの視点で子どもの権利を保障する社会を目指すとし、基本方針の中にヤングケアラーの支援を盛り込んでいます。ヤングケアラーの年齢やケアの内容の認識は、国によって異なっています。
世界の各地で、家族のために介護や労働などを担わざるを得ない子どもたちの状況が明らかになりつつあります。新興国や途上国では、ほぼヤングケアラーの概念が認識されておらず、メディアに出ることもありません。しかし、経済状況など環境は違っても、共通する厳しい環境に置かれた子どもたちはいます。外で働く親の代わりに家族の介護や世話をし、親が病気などで十分な収入を得られない場合には外で働いています。子どもたちが家族の介護の担い手であると同時に、家の外で収入を得るため働く労働者でもあります。
欧州では、ヤングケアラーの支援策を共有する動きが広がりつつあります。スウェーデンや英国、イタリアなど欧州6カ国の大学や、NGOが始めた共同プロジェクトでは、15~17歳の思春期のヤングケアラーの精神面のサポートを中心に各国の支援策をまとめて公表したり、改善策の提言に取り組んだりしています。
一方、日本でも支援の動きが始まりつつあります。神戸市は、今年6月に相談・支援窓口を開設しています。埼玉県は、中学や高校で元当事者が語る授業や、教職、福祉職の研修などで理解や連携を高めようとしています。鳥取県、福岡市も相談窓口を設けています。当事者同士で悩みを話し、支え合う活動ピアサポートも民間や自治体で広がりつつあります。

(2021年12月27日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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