コロナ危機にあっても、数十億円以上の金融資産を持つ超富裕層が世界で拡大しています。国別で富裕層が最も多いのは米国で、日本が続いています。日本は先進国の間でも富裕層の人口規模が大きく、一般に金融資産を比較的多く持つ高齢者の割合が高いことも背景にあるとみられます。
世界的なカネ余りによる新規株式公開の活況などが背景にあり、新型コロナウイルス禍もどこ吹く風で潤っています。若い世代も増え、マネーの流れの景色を変えつつあります。新興富裕層は新規株式公開や会社の売却を機に資産を増やす30~50代が多くなっています。
新興富裕層は、自らが創業時に支援を受けた経験からペイ・フォワード(人から受けた親切を他の人につないでいく)の精神で、後輩の起業家を支援したり、非営利団体に寄付したりする人も多くなっています。ITバブル期の起業家のように、一等地に住んで高級車に乗り、ぜいたくをしたいという人は相対的に減っているように思えます。新たな富裕層の力が次世代につながり、好循環をつくっていくことが期待されます。
(2022年1月3日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)