オミクロン型の流行など新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、オンライン形式の入学試験を導入する大学が増えてきています。国際教養大学は、2021年度入試から総合型選抜や学校型選抜でオンライン化を進め、2022年度入試までに500人以上の学生が利用しています。キャンパスが秋田県内にあるため、県外からの受験者が多く、入試を止めないためにオンラインの活用は喫緊の課題でした。学生たちがリラックスしているので個性を見つけやすく、空気感や印象に引っ張られず発言内容を重視できる点などといった利点があるとされています。
文部科学省は、コロナ禍で、面接や小論文での試験が主となる総合型選抜や学校型選抜のオンライン化を推奨しています。昨年4月の調査によれば、総合型を採用している学部の19.1%、学校型を採用している学部の18.4%がオンライン入試を実施しています。システム運営会社は、国際教養大学を含め、約30大学にサービスを提供しています。一度に最大100人近くの受験生との面接を同時並行で実施することもあり、接続状況をリアルタイムで可視化できることや、個人情報の取り扱いといったセキュリティー対策が各校に評価されています。
オンライン入試は、不正行為を防ぎ、受験生の公平性をどう担保するかが課題となっています。面接よりも筆記試験のほうが不正防止が難しくなるため、二の足を踏む大学も多くなっています。スマート入試では、パソコンと同時にスマートフォンのカメラも使用し、2つのカメラで不正を防いでいます。不自然な視線や手の動きを人工知能が検出し、替え玉受験の抑止にもつなげています。一部の大学院ではリモートで筆記試験を行い、試験中の動画を録画するなどの対策を講じています。
これから本格化する2022年度入試では、新型コロナウイルスの変異型のオミクロン型の感染が急拡大する中、濃厚接触者となった受験生への対応が問題となっています。文部科学省は、無症状などの一定の条件を満たせば別室での受験を容認するとしていますが、オンラインで自宅などから受験することが可能になれば、こうした事態へも対応できることになります。
(2022年1月12日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)