肥満傾向の子どもが増えています。2020年から続く新型コロナウイルス禍の行動制限が影響した可能性があります。2021年7月に文部科学省が発表した学校保健統計調査によれば、幼稚園から高校生まで、高1をのぞく全ての学年で、標準体重から算出した肥満度を20%以上上回る肥満傾向の子の割合が、2020年度に上昇しています。肥満度がマイナス20%以下の痩せすぎの子も全ての学年で増えています。
痩せについては、コロナにより広がった経済格差も背景にあると考えられます。貧困家庭の子どもが、日に3度の食事を十分食べられない状況が起きています。これは社会全体で早急に解決すべき課題です。一方、ストレスからくる肥満や痩せは各家庭で取り組めます。生活習慣病は低年齢化しており、肥満症が気になる子は、低学年のうちから改善していくことが必要です。
肥満の解消には規則正しい食生活が必要になります。食以外のストレス解消法を探すと同時に、3度の食事を整えることが必要です。肥満の子によく見られる早食い防止のために大事なのは、食事と食事時間の質を変えることです。赤みの肉や大切りの野菜、きのこやこんにゃくなどを増やすと、噛む回数が増え満腹感が味わえるようになります。食事中のコミュニケーションは、早食い防止とともにストレスケアにもなります。
パスタや丼といったワンプレート料理は避け、主食の他にも主菜と副菜の皿数をできるだけ意識するようにすることが大切です。おやつは、1日のエネルギー量の10~20%が基本です。コロナ禍だからこそ、家庭でもバランスのとれた食で生活を楽しめるようにする必要があります。
(2022年1月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)