介護の人手不足への危機感が高まってきています。厚生労働省によれば、介護人材は2019年度に210万人程度です。高齢化の加速などを考えると、2023年度にさらに22万人、2040年度には69万人増やす必要があります。2020年に全産業の平均月収がボーナスなどを含め35万円を超えるのに対し、介護分野は30万円に届いていません。そのため、他職種に比べ求人倍数も3~4倍高くなっています。
アジアで介護人材の奪い合いが起こり、外国人に頼れない事態もあり得ます。中国や韓国では、日本よりも厚待遇の求人も出始めています。日本は、語学取得をはじめハードルが高く、学生の日本離れが加速する可能性もあります。そのため、厚生労働省はロボットやセンサーを使い、少ない介護者でも質を維持しながらサービスを提供できる仕組みを探っています。夜間の見守り機器の導入による介護の負担軽減や、ロボットを使った業務の効率化などを想定しています。
(2022年2月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)