第142回東海産科婦人科学会にて、社会政策課題研究所の江崎禎英先生の講演「人生100年時代における女性の健康」を拝聴いたしました。
人生100年時代と言われる現在、如何に最期まで幸せに生ききるかが重要なテーマであり、誰もが年齢や体力に応じて社会の一員としての役割を果たすことができる生涯現役社会を構築することが重要です。少子高齢化社会の進展は、経済が豊かになり社会が安定化する社会における共通の傾向であり、こうした時代に相応しい社会経済システムの構築こそ政策の基本に据えるべき目標です。特に、平均寿命が長い女性が生き生きと暮らし続けられる社会の構築は、世界に先駆けて超高齢化社会に突入した日本が取り組むべき重要な課題です。
単に財政逼迫に起因する社会保障制度の改革に止まらず、人口構造の変化を踏まえて、社会経済システムそのものの見直しを行うことです。そのためには、まず人生の前半である生産年齢の段階から、経営者や従業員が健康管理に取り組みやすい環境を整える健康経営を推進することが重要となります。現在、健康経営の取り組みは、既に上場企業のみならず中堅・中小企業を始め、医療関係団体にも広がりつつあります。
これまで積極的に健康経営に取り組んできた企業の多くが、今後の重要テーマに女性の健康を挙げていることです。多くの経営者が企業活動を支える重要なプレーヤーとしての女性に着目し、女性の健康管理を経営戦略に位置付け取り組みを始めようとしています。こうした取り組みは女性のみならず、ひいては男性にとっても働きやすい環境の創出に繋がることが期待されます。
(吉村 やすのり)