東日本大震災の被災者向けに整備された災害公営住宅で、空室率が上昇しています。被災3県で空室率10%以上の自治体が約3割に上っています。今後も空室率は上がり、住民の孤立が深まる恐れがあります。高齢者の孤独死を危惧する自治体は6割超に達しています。
国土交通省がまとめた2019年度末の全国の公営住宅の平均空室率は2.2%ですが、被災地での空室率の高さが鮮明となっています。県別では岩手の9.4%、宮城の4.8%、福島の14.3%です。
災害公営住宅マネジメントをほぼ行政が丸抱えし、自治体の負担が大きくなっています。米国では、非政府組織などが被災者向けの住宅を整備し、行政が助成金や税額控除を通じて支えています。災害時だけでなく、平時から地域で空き家や孤独死の対策に取り組む組織を育成することが重要です。
(2022年3月15日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)