経済産業省は、社員の健康に配慮した経営をしている2,000社の評価内容を公表しています。そのうち50社を健康経営銘柄とし、花王やSCSK、大和証券グループ本社が8年連続で選ばれています。開示企業は前回調査から4倍以上に増えています。投資先の選定や就職活動に役立ててもらう取り組みです。
健康管理に着目した経営は、健康経営と呼ばれます。昨年改訂された上場企業のコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)では、新たに従業員の健康・労働環境への配慮を求める規定が盛り込まれています。労働環境はESG(環境・社会・企業統治)投資の一部に位置づけられ、投資の関心が高まっています。
経済産業省は2014年度から企業の健康経営の実施状況について調査を始め、今年度は過去最多の2,869社が回答しています。このうち上場企業634社を含む2,000社が開示に同意しています。健康づくりへの施策や組織体制など約180の項目で偏差値を算出しています。
目立つのは新型コロナウイルス感染拡大に伴う取り組みです。花王では在宅勤務が続き、体重が2㎏以上増えた社員が3割弱に上っています。全社員を対象に減量イベントを実施したところ、参加者の3割が減量に成功しています。SCSKは運動量を計測できる機器を配布するなどの取り組みを実施し、社員の1日の平均歩数が大幅に増えたとしています。
(2022年3月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)