生産性改善のためのリカレント教育

日本生産性本部のまとめによれば、2020年の日本の1人当たり労働生産性は7万8,655㌦と、OECD加盟38カ国中28位にとどまっています。生産性が低いのは円滑な労働移動、すなわち衰退産業から成長分野への転職ができていないからとされています。その要因として①ジョブ型雇用の普及、②転職先の職業情報の見える化、③リカレント教育の3点での遅れを挙げています。

リカレント教育を受けたくても講座が身近になかったり、高額だったりする上、長時間労働で時間もないのが現状です。厚生労働省は、労働者に受講費用の50%(年間上限40万円)を支給する専門実践教育訓練給付金を設けていますが、対象分野が偏りデジタル関連の講座は、全体の1割に満たなくなっています。地域も東京に偏っています。
地方の国立大学が学生向けに力を入れるデジタル講座を、社会人向けに転用するため、文部科学省と厚生労働省が連携することも有効です。働く意欲の高い人へのリカレント教育の機会拡大は、生産性の向上につながります。国の施策と企業の長時間労働是正で好循環が生まれることが期待されます。
企業は、自ら学ぶ人材の育成を持続的成長の原動力と位置づけ、学びの機会を増やす副業や週休3日制の導入を進めています。資格取得を支援したり、社内研修を充実させたりする企業も増えてきています。学び直しは、若手に限らずシニア人材にとっても必要性や効果が認識され始めています。

(2022年3月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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