スタートアップとの連携による大学経営の課題解決

わが国の18歳以下の人口は、2020年に約1,953万人と、2000年に比べ2割減っています。逆に四年制大学は過去20年間で1.2倍に増えています。欧米では卒業生からの寄付文化が定着しており、それを元手に運用した資金が重要な財源になっています。日本では卒業生のネットワークが形成されておらず、大学側も寄付を獲得する金融機関出身者などの専門職員が不足しています。
寄付・基金に関わる人材を育成する公益社団法人JTSの調査によれば、専門職員は米カリフォルニア大学ロサンゼルス校が600人、英オックスフォード大学が200人だったのに対し、日本の国立大学は平均で数人に過ぎません。直近の寄付金の運用額は、米ハーバード大学は532億ドル(約6兆5,000億円)に対し、東京大学は200億円弱にとどまっています。
大学の人材や財源の不足という課題を解決しようと、スタートアップが動き出しています。オンラインプログラミング教材のライフイズテックは慶應大学生と連携し、教員数が不十分なAI分野を効率的に学べる教材を開発しています。少子化の中で学生を継続的に呼び込める魅力づくりは待ったなしの課題です。大学間の競争が激化する中、新興勢との二人三脚で魅力を高める重要性は高まってきています。

 

(2022年3月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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