学校基本調査によれば、特別支援学校の在籍者数は2011年と比べて約2万人増え、約14万6千人に達しています。大半は知的障害で約13万5千人です。また、通常の小中学校などにある特別支援学級の在籍者数は、2011年比で約17万1千人増の約32万6千人です。知的障害は約14万7千人、自閉症・情緒障害は約16万6千人です。
文部科学省の調査結果によれば、全国の公立特別支援学校(幼稚部~高等部)で、計3,740教室が不足しています。少子化にもかかわらず、なぜか在籍者が増えている理由としては、医療の高度化で出生時などの命の危険が減った、発達障害を含め見えにくい障害も早期診断されるようになった、特別支援教育が周知されて専門的な教育を求める保護者が増えたなどが考えられます。
現場からは、専門性の高い教員が圧倒的に足りないとの声が上がっています。特別支援教育免許状の保有率は、特別支援学校教諭で87%、特別支援学級担当で31%です。臨時的任用の教員の割合も高くなっています。特に特別支援学級の担当教員は校長が決めるため、通常学級を任せられない教員が回される例があるとの指摘もあります。
2018年度には、通常学級の在籍者で支援の必要な子が学ぶ通級指導を高校まで拡充しています。2019年度から幼少中高校の教員免許の取得に、特別支援教育の単位取得が条件付けられました。文部科学省の有識者会議は、全教員が採用後10年以内に特別支援学級の担任などを2年以上経験するよう求める報告書をまとめています。
(2022年4月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)