日経ウーマノミクス・プロジェクトの男性へのアンケートによれば、育児休業取得に際し、復帰後の仕事への影響や仕事の引き継ぎに不安を感じるとの声が寄せられています。男性の育休取得のための最も効果のありそうな施策としての最多は、従業員に対する個別の制度周知・取得の意向確認の義務化の27%でした。相談窓口の設置など育休を取得しやすい環境整備の22%が続いています。
育休取得にあたり不安はあるかとの質問には、3割があると回答しています。内容としては、復帰後の仕事への影響が61%で最多で、続いて仕事の引き継ぎが55%、同僚など職場の反応が46%でした。育休取得経験のある男性に、実際に現実となった不安を尋ねたところ、40%が仕事の引き継ぎと回答しています。復帰後の仕事への影響が35%、上司の反応が29%も多くみられました。
男性が育休を取りやすくなるために必要なことについては、男性全体の74%が、上司の理解をあげています。同僚の理解が64%、昇進や配置転換で不利にならないが53%と続いています。昇進についての安心感が必要ですが、現場を束ねる管理職が育休を取得して、ロールモデルになることも大切です。
男性育休は、効率性の向上を考える契機になります。事業規模にもよりますが、業務の属人化を改め欠員を前提としたチームをつくれば、働き手の病休や介護休暇などにも柔軟に対応できます。労働市場全体でみても、優秀な女性が仕事を継続できるので生産性は高まります。
(2022年4月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)