妊娠前の体格により、妊娠中の様々な合併症が起こる頻度が異なっています。日本で低出生体重児の割合が増えたことの背景には、妊娠前のボディバランスの乱れが関係しています。近年、20代女性の痩せが非常に増えていて、肥満もそれなりの数がいます。女性の痩せと低出生体重児の増加が関連していることを示すデータがあり、早産の発生とも無関係ではありません。また、肥満の女性は妊娠高血圧症候群になりやすく、これは早産の大きな原因となるため出生体重にも影響します。
日本の女性の高学歴化と社会進出が進んで、昔と比べるとどうしても第1子を授かる年齢が高くなったことも、低出生体重児率の多い要因の一つだと考えられます。40代の初産婦も都市部で珍しいことではなくなりつつありますし、出産年齢の高齢化とともに生殖補助医療の助けを借りて妊娠・出産する人も増えています。女性はいつでも妊娠できるわけではなく、トラブルの少ない妊娠に適した年齢があります。その時期を過ぎてからの妊娠・出産はハイリスクとなるため、低出生体重児をはじめとする様々なトラブルがつきまといます。
低出生体重児で生まれた女性は、妊娠糖尿病の発症率が高くなること、妊娠高血圧症候群を起こしやすくなることも分かっています。
(2022年5月1日 月刊母子保健)
(吉村 やすのり)