こども家庭庁の関連法案の可決

こども家庭庁の新設などを柱とした子ども政策の関連法案が衆院で可決しました。こども家庭庁に他省庁への勧告権を与え、首相直轄のこども政策推進会議を創設します。幼稚園と保育所の所管を統合する幼保一元化は見送り、行政の縦割りは一部に残ることになります。
こども家庭庁は首相が直接所管する組織になります。厚生労働省や文部科学省などから職員を集め、総勢300人規模になる見通しです。新組織には、厚生労働省や内閣府が担ってきた子ども関係の部局についてはほぼ全てを移管します。
厚生労働省が所管する保育所と内閣府の認定こども園は、新組織が担います。一方で幼稚園や義務教育といった教育分野は、文部科学省に据え置きます。長年の検討課題だった幼保一元化は実施できていません。文部科学省が担当する分野と新組織の間で、省庁の壁が弊害になる可能性があります。
厚生労働省が2月に発表した2021年の出生数(速報値)は84万2,897人です。6年連続で過去最少を更新しており、少子化に歯止めがかかっていません。政府は、長年様々な対策をとってきましたが、一向に有効打とはなっていません。従来の枠を超えた新組織に衣替えして抜本策を示せるかが問われています。

(2022年5月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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