出生数、婚姻数ともに減少

厚生労働省の発表の2021年度の人口動態統計の速報値によれば、出生数は2020年度と比べて1.3%減の84万2,131人でした。14年連続で減少し、過去最少を更新しています。将来の出生数を左右する婚姻数が新型コロナウイルス禍で減少しています。2022年に入った足元の3カ月で見ても、出生数が上向く兆しはなく、持続的な経済成長や社会保障を実現するためには少子化対策のテコ入れが急務です。
2021年度の婚姻数は52万5,273件で、前年度から0.6%減っています。2019年度から2020年度にかけて、約10万件減ったのと比べればマイナス幅は大きく縮みましたが、コロナ前の水準に戻る動きはまだ見えていません。日本はフランスなどと異なり、女性は婚姻後に出産するケースが多く、婚姻数の減少は出生減に直結します。コロナ禍によって、人との交流が減ったほか、結婚を控える動きが出ていることが大きな要因となっています。
出生数は、新型コロナの影響が大きかった時期よりさらに減少しており、国立社会保障・人口問題研究所による推計の低位に近づいてきています。コロナ禍は現状では落ち着きを見せていますが、婚姻数が急速に回復するとは思えません。景気回復の動きは鈍く、休業や就業時間の減少で収入が落ち込んだ人も多く、出生数を上向かせるには、生活不安を解消する手立ても必要になります。

(2022年5月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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