日本は先進国の中でも男女の賃金差が大きくなっています。2021年の賃金の平均額は、男性は33.7万円、女性は25.3万円です。年々その差は縮まっているものの、女性は男性の75%程度の水準にとどまっています。政府の資料によれば、正規・非正規のフルタイム労働者について、日本では女性賃金の中央値が男性賃金の中央値より22.5%低く、男女の格差は主要7カ国(G7)の中で最も大きくなっています。
役員を除く雇用者のうち、非正規労働者の割合は36.7%ですが、女性に限ると53.6%にのぼります。勤続年数は、男性の13.7年に対し女性は9.7年です。管理職に占める女性の割合は13.2%と、3~4割の米国や英国、フランスなどと比べてかなり見劣りしています。
岸田文雄内閣は、新しい資本主義実現会議で、企業に対し、男女間の賃金格差の開示を義務づけることを明らかにしています。賃金格差を解消することで女性活躍を促し、成長と分配の好循環につなげる狙いです。フランスは、従業員50人以上の企業に、男女の賃金格差とその解消に向けた方策をホームページで公表するよう求めています。英国は、従業員250人を超える企業などに、賃金格差について詳しく明らかにするよう定めています。
(2022年5月21日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)