M字カーブの解消

出産や育児を機に職を離れ、30代を中心に働く女性が減るM字カーブ現象の解消が進んでいます。総務省の発表によれば、35~39歳で働く女性の比率は78.2%と、5年前に比べて5.2ポイント上がったとしています。30代の女性の8割が仕事を続け、極端な落ち込みはなくなっています。しかし、女性は非正規社員として働くケースが多く、働き方や待遇の改善には課題が残ったままです。
労働力率は、就業者と仕事を探している人を合わせた労働人口が、15歳以上人口に占める割合です。女性は、出産や子育てが多くなる30代の労働力率が、20代や40代に比べて低くなる傾向があります。日本は海外と比べるとM字の谷が深く、女性の就労環境の課題を映すものとされてきました。
女性の労働力率は30~34歳が79.6%と、5年前の前回調査より5.5ポイント上がっています。女性の就業が進んだことで、25~29歳も87.0%と5ポイント上昇しています。30~34歳が49.3%にとどまった1985年に比べると、女性が職を離れることによるM字の現象はほぼ見られなくなっています。
しかし、雇用の形態を男女それぞれで見ると、正規雇用で働く女性は42.4%と、男性の65.2%を大きく下回っています。女性はパート・アルバイトが41.5%で、正規と非正規がほぼ同数になっています。非正規での雇用は正規と比べると賃金が見劣りします。2021年のパートタイム労働者の月間現金給与額は平均で約10万円で、フルタイム労働者の約42万円に比べると4分の1です。女性は相対的に低賃金なパートやアルバイトが多く、男女の収入差の要因になっています。

(2022年5月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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