多くの企業が、女性活躍推進法に基づき数値目標を定めて計画的に女性活躍に取り組んでいます。2016年度本格施行の女性活躍推進法は、従業員301人以上の企業に女性登用に関する行動計画作りを義務付けています。今年4月に法改正され、対象は101人以上の企業に広がっています。2022年3月末時点で全国約3万9千社が、計画を国に届け出ています。しかし、企業は達成に意外と苦慮しています。国は、女性活躍に積極的な企業を認定する制度も運用しています。目標未達が4割に上っています。
女性活躍は企業価値向上のための経営戦略なのに、日本企業はその意識に欠けています。そもそも職場風土や社員の意識は簡単に変わるはずもなく、女性活躍の実現は長く険しい道です。女性活躍は、企業の価値創造にどう結びつくのか、先進企業は積極的な情報発信を始めています。女性管理職比率が高くなると、株価純資産倍率が上るとされています。人的資本に関する情報開示は世界の趨勢です。企業の将来を占う手掛かりとして投資家の関心も高くなっています。
(2022年5月30日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)