コロナ禍での少子化加速に憶う

2021年の人口動態統計(概数)では、新型コロナウイルス禍の影響などから少子化が加速しています。出生数が過去最少を更新し、1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数である合計特殊出生率は1.30にまで低下しました。日本では出産との結びつきが強い婚姻数も急減しており、少子化は一層、深刻化しています。
年間を通じて新型コロナへの対応に追われた2021年の出生率は、過去4番目に低い1.30にまで低下しました。政府が目標に掲げる希望出生率1.8にはほど遠い状況です。日本の人口構造は縮小ループにはまっており、婚姻数の減少が出生数の減少と連動していて、このままでは、社会の支え合いが成り立たなくなってしまいます。
2021年はコロナ禍で、結婚式の延期や中止が相次いだほか、将来不安などから結婚自体を諦める人もいて、婚姻数が戦後最少の約50万組にまで減少しています。日本では結婚後に出産することが多く、2022年以降の出生数の減少要因となる可能性が高くなっています。影響の長期化で、合計特殊出生率が過去最低だった2005年の1.26を割り込む事態も視野に入ってきています。
深刻な少子化への危機感から、政府は出産育児一時金の増額や奨学金の拡充を検討し、子育て費用の軽減に取り組む方針を表明しています。今国会では、対策の司令塔となるこども家庭庁の設置法案が成立する見通しです。若い人の雇用環境を整備し、賃金を上昇させることが、結婚や出産につながり、少子化を防ぐことになります。

(2022年6月4日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。