5~11歳向けの新型コロナウイルスのワクチン接種が3月から全国で本格的に始まり、3カ月が経ちました。6月5日時点で、全国で1回目接種を終えたのは17.3%です。職域などで64歳以下への接種が本格化した昨年6月からの3カ月間で約46%だったのに比べると、あまり進んでいません。
厚生労働省は、5~11歳向けのワクチン接種について、オミクロン株への感染を予防する効果が一定期待されるとする一方で、有効性を示すエビデンスが十分に集まっていないとして、現段階では予防接種法の努力義務の対象外としています。12歳以上とは異なり、保護者が子どもに接種させるよう努める義務はありません。
流行を経験した地域とそうでない地域で、小児科医の保護者への勧め方にも差が出ています。12歳を境にワクチンの効果が変わるはずがなく、国は保護者に対してきちんと接種を呼びかけるべきだとする小児科医もいます。日本小児科学会は、子どもの周りにいる大人がまずワクチン接種を済ませ、重症化リスクを抱える基礎疾患のある子どもへの接種を呼びかける一方、健康な子どもについてはメリットとデメリットを比べ、打つかどうか決めるよう求めています。
基礎疾患がある子どもにはメリットが大きいと思われますが、健康な子どもにはメリットが大きくないと考えられています。発熱などの副反応が出て学校などを休むことがある一方で、オミクロン株に感染しても重症になることが少ないとされています。ワクチンには意義があるとしたうえで、納得できる人が打てばいいのではないかと思われます。
(2022年6月8日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)