東京に女性が集まる現象が続いています。女性の転入者数から転出者数を差し引いた転入超過数をみると、東京都は、最近ではコロナ禍もあり減少しているものの、プラスが続いています。一方、地方は2021年は38道府県でマイナスと、転出超過となっています。若い女性が進学や就職のために上京した後、地域に戻ってきていません。
ライフルホームズ総研は、地方創生のファクターXというリポートを発表しています。女性の生き方や個人主義などの観点から、都道府県ごとに寛容性指標を作成し、寛容性が低いほどUターン率が低くなりやすいと結論付けています。歴史や伝統を重視する地域ほど、新しい価値観を受け入れにくい傾向があります。地域を衰退させないためにも、経営者や首長など地域での影響力が強い人たちから意識を変えることが大切です。
男尊女卑や閉鎖的な文化があるとされる地方で、因習と向き合う動きが出てきています。経済団体が独自に男女差指数を作ったり、自治体が多様性をめざす条例を作ったりしています。女性や若者流出への危機感が背景にあります。
(2022年6月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)