わが国の自殺率

2021年版自殺対策白書によれば、人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)が、日本は16.1人と世界で7番目に多く、G7中では平均の11.5人を大きく超えて最多となっています。
日本に米国、ドイツ、スウェーデンを加えた4カ国の60歳以上を対象にした内閣府による2020年度の調査によれば、同居の家族以外に頼れる人に友人を挙げた日本人は、14.9%に過ぎません。4カ国中最も少なく、46.4%で最多のドイツとは30ポイント以上の差が生じるなど、高齢世代で周囲に相談できる人が少ない実態が浮かび上がっています。若者にも同様の傾向がみられます。7カ国の13~29歳が対象の2018年度の調査によれば、悩みや相談事があった場合、誰にも相談しないと答えた日本人は19.9%と最多で、続く韓国の12.2%より7.7ポイント高くなっています。
わが国では、職場や地域で自殺の兆候がある人をいち早く察知して支援へとつなげるゲートキーパーの浸透が進んでいません。抑止策の柱として普及に取り組む国が多いなか、日本での認知度は1割止まりで担い手も不足しています。ゲートキーパーとは、自殺を図ろうとする人のSOSに気づいて声をかけ、話を聞くほか、医療機関や相談窓口につなぐ役割を担います。命の門番とも呼ばれます。

(2022年6月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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