弁護士白書によれば、2021年の女性弁護士の割合は19.3%です。絶対数は増加していますが、割合でみると5年前からの伸びはわずか1ポイントに過ぎません。国は、2003年に法曹など指導的地位に占める女性割合を2020年に30%にする目標を定めましたが、未だ達成できていません。2021年の裁判官の女性割合は27.2%、検察官は26.0%で、弁護士はこれらを下回っています。
背景には家庭との両立の難しさや、法律家を目指す女性自体が少ないことがあります。小規模な事務所の弁護士は個人事業主が多く、出産や育児に伴う休業中に無収入になるケースもあります。育児中の弁護士も業務を続けられるような環境づくりが進んでいます。
環境整備が少しずつ進む一方で、司法試験合格者の女性割合自体が低いという問題もあります。2021年は27.8%でした。女性の就職口が限られていた時代は、資格を取れば活躍できる法曹は魅力的な職業でしたが、企業やNPOなど女性が活躍できる分野が増え、相対的に人気が下がっています。しかし、社外取締役としての女性弁護士のニーズは高まっています。社外役員や企業内弁護士、スクールロイヤー、自治体で働く弁護士など、活躍の場が多様化している点を、学生らに周知していくことも重要です。
(2022年6月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)