文部科学省の実態調査によれば、小中学生の視力が低下していることが明らかになりました。小学6年の男子19%、女子22%が裸眼視力0.3未満でした。視力が低下した割合は学年が上がるほど増え、中学3年で視力0.3未満は男子25%、女子35%を占めています。デジタル端末の長時間利用が影響しています。
視力0.3未満は、教室の最前列に座っても黒板の文字が見えにくいとされています。この割合は小1段階では男女とも1%程度ですが、学年が上がるにつれ増加しています。男子より女子の低下が目立っています。中3の眼鏡・コンタクトレンズの着用率は、男子37%、女子49%でした。
生活習慣と視力低下の関連が指摘されています。スマートフォンや携帯ゲーム機を休日に2時間以上使う割合は、小6では男子が28%、女子が22%でした。屋外活動が減った一方、スマホなどを近距離で見る時間が増えたことが影響しています。新型コロナウイルス下の巣ごもりが悪影響を与えたとの見方もあります。
デジタル端末の普及が急速に進むなか、視力が低下する傾向は海外でもみられます。文科省によると、台湾や韓国では、近視の症状がある子どもが全体の8割を超えています。2050年には人口の半数にあたる48億人が近視になり、2000年の14億人の3倍超に増えると推定されています。
(2022年6月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)