女性管理職登用への新基準

日本企業は女性の登用が世界的に遅れています。労働政策研究・研修機構のデータブック国際労働比較2022によれば、2020年の管理職に占める女性比率は、日本は13%で、米国の41%やフランスの36%、ドイツの28%などと比べて極めて低率です。

EUは、6月に域内の上場企業を対象に、全取締役の3分の1以上を登用するよう求める法案で大筋合意しています。女性登用の遅れに対し、投資家の目は厳しさを増しています。大手運用会社のアセットマネジメントOneは、女性取締役がいない企業の代表取締役の選任案に反対すると決めています。女性管理職の低さに対する危機感は、わが国の産業界にも広がっています。
リクルートは、女性登用の促進に向けて、管理職候補選びの新たな基準を7月から本格導入します。転勤ができるかといった働き方などでバイアスに基づき評価しないよう、実績や能力による判断を徹底します。試験導入した部署では、女性候補者が2倍になっています。先入観を排除し多様性を高める必要があります。
家庭と仕事の両立などのために転勤ができなかったり、ロールモデルが少ないことから昇進に関心を持てなかったりする女性なども少なくありません。こうした人材は、能力があっても管理職候補に選ばれていない可能性もあります。リクルートは、管理職の多様性が損なわれているのではないかとの問題意識を強めており、新基準では、仕事の業績のほか、会社の戦略を理解して部下に説明する力や、重要業績評価指標に基づき行動計画を立てる力など、管理職に必要な要件を5つほど部署ごとに明文化しています。

(2022年6月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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