人材誘致と労働生産性の関係

優秀な自国の人材をつなぎとめ、さらに海外からも高度人材を呼び込むことで国の成長は加速します。OECDは、2019年に賃金や就業機会、社会の寛容度などの指標から、各国の人材誘致指数を算出しています。上位は北欧諸国で、特にスウェーデンが0.63と高くなっています。移民流入への制限が少なく、外国人が広く就労機会を得られています。
自国民向けに充実しているリスキリングの機会を移民も平等に利用でき、キャリア展望を描きやすくなっています。国がスタートアップ育成などで外国人を生かす姿勢を打ち出し、呼応するように人材が集まります。時間あたりの労働生産性は70.3ドルと、日本の47.4ドルを約5割上回っています。
米国も誘致指数が0.59と高水準です。外国人に昇進の機会が開かれ、高い賃金を得るチャンスも多いことが人材を引き寄せています。米国の時間当たりの生産性は71.5ドルと、スウェーデンも上回っています。米カリフォルニア大学デービス校の研究者らによれば、高度な技能や知識を持つ移民の割合が1ポイント増えた都市では、大卒労働者の賃金が7~8%上昇しています。人材誘致が地域全体の成長に波及しています。

(2022年7月5日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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