内閣府の2020年版男女共同参画白書によれば、6歳未満の子どもを持つ日本の夫の家事・育児関連時間は、1日当たり平均1時間23分です。スウェーデンの3時間21分や米国の3時間7分、ドイツの3時間の半分以下です。日本の男性の育児や家事に携わる時間は、圧倒的に短くなっています。男性の育児参加の促進は、女性の社会進出につながるとして、各国も力を入れています。
2010年に、国は父親の取得促進を掲げ、父母双方が取得した場合の育休期間の延長を認めた改正育児・介護休業法を施行しています。男性の取得率は少しずつ上昇していますが、2020年度で12.6%にとどまっています。8割を超える女性の取得率との差はなお大きいままです。4月から、従業員への制度周知が企業に義務付けられました。10月には、子の出生後8週間以内に4週間まで育休を分割取得できる父親専用の制度も新設されます。
利用が広がるかは、管理職の意識改革がカギになっています。育休取得を巡り職場の理解を得る壁はなお高く、休業中の収入減への不安も根強いものがあります。男女とも、収入が減るかもしれないが4割を超えています。また、長期間現場を離れた経験がなく、復帰できるか心配することもあり、長く休んでも仕事に戻りやすいように、技能を磨き直す機会を増やすことも大切です。
誰もが働きやすい環境整備に向け、男性の育休推進は需要な取り組みです。少子化を食い止め、生産性を上げる好循環にもつながります。男性の育休取得も含め、子育てと仕事との両立を支援する政策が急務です。
(2022年7月6日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)