ギフテッドプログラムの必要性

ギフテッドとは、一般的な人々と比較して先天的に顕著に高い知性と精神性、共感的理解、洞察力や独創性に優れた能力を持つ人々のことを言います。海外では、ギフテッドへの教育が盛んな国が多くなっています。上位0.1%の才能の育成を掲げ、才能と学習の困難を併せ持つ子へのプログラムを備える国も増えています。
理解度に応じ飛び級を認めたり、進級を遅らせたりすることは珍しくありません。2018年のOECDの抽出調査によれば、15歳時点で本来の同級生と一緒の学年に在籍しない子どもは、米独仏などで2割を超えています。形式的な平等に重きを置く日本は、OECD調査で全員が同じ学年しています。教育システムは、等しく同じ内容、カリキュラムを受けられることを重視し、個人がそれぞれの特性に合った学びを得にくい状況にあります。適切な環境で才能を伸ばすことが、差別を正当化するとタブー視されてきました。
日本においても、変化の兆しが見られてきています。2016年にソフトバンクグループの孫社長が立ち上げた財団では、10歳未満もめて特定分野に秀でた300人近くを発掘しています。年間の支援総額は7億円を超えています。才能があって学校に馴染めない子どもらを支援してきています。平等だけを重視する府寛容な社会を変えなければ、破壊的なイノベーションを担う異才は出てきません。平等主義が人材育成の仕組みを硬直的にしていれば、出る杭は伸びません。

(2022年7月8日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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