世界経済フォーラムは、世界の男女格差の状況をまとめた2022年版のジェンダーギャップ報告書を発表しています。完全な男女平等への日本の達成率は65.0%で世界116位と、主要先進国で最下位でした。政治と経済分野の遅れが低迷の原因で、特に経済分野の達成率は前年の60.4%から56.4%に後退しています。コロナ下に男性より女性の方が労働参加や管理職の割合が減ったことが響いています。
日本の評価が著しく低いのは政治が理由です。女性の議員数、閣僚数が圧倒的に少なく、女性の首相も誕生していません。政治分野だけでみた順位は139位で、世界の最下位圏です。女性の権利を制限しているとされるアフガニスタンの107位やサウジアラビアの132位よりも下回っています。家庭との両立に困難を感じ、政界入りをためらう女性がいると指摘されています。家事は女性が担当するものという意識や社会構造が進出を妨げているのも一因です。
世界で最も男女平等に近い国はアイスランドで、達成率は90.8%です。13回連続で首位の座を守っています。女性が首相に就いているアイスランドとフィンランド、スウェーデン、ナミビアが上位10カ国に入っています。
格差の解消は多様性につながります。会社の場合、新しい商品やサービスを生み出し、時代の変化に対応できる組織にするには多様性が必要です。国会も、幅広い国民の意見を政策に反映させた方がより暮らしやすい国づくりができます。男女の格差是正はその第一歩で、性的マイノリティーも含めた多様性の確保がますます必要とされてきます。
(2022年7月14日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)