スイスのビジネススクールIMDがまとめるデジタル競争力の指標によれば、日本のスコアは米国の7割程度で、64カ国・地域中28位にとどまっています。デジタル競争力の強い国ほど労働生産性も高くなっています。他の先進国に先駆けて人口減少が進む日本は、新たなテクノロジー導入のチャンスも大きいはずなのに動きは鈍く、時代遅れの規制や既得権益にしがみつく抵抗勢力が壁になっています。わが国は、人口減少による労働力不足が避けられない状況にあり、それを補うデジタル競争力が必要になります。
アクセンチュアの報告によれば、2035年まで年平均0.8%にとどまる見込みの日本の成長率について、AIを十分に活用できれば、2.7%まで引き上げられるとしています。危機的な少子化に直面する日本が消滅するか否かは、技術革新で人間の能力を拡張できるかにかかっています。人と技術を育て、生かし切る覚悟が求められています。
(2022年7月9日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)