児童虐待23年連続増加

全国の児童相談所が、2013年度に対応した児童虐待の件数は7万件を超え、23年連続で増加している。全国207カ所の児童相談所に寄せられた通報や相談のうち、虐待の疑いがあると判断して、親への指導や施設の入所などの対応を取った件数である。大阪が1.7万件と最多で、神奈川、東京、千葉、埼玉と上位5都道府県で全体の半数を占めている。

児童虐待の対応に追われる児童相談所は、どこも人手不足に悩んでいる。全国の児童相談所に配置されている児童福祉士は、現在2,771人であり、虐待対応件数の増加に追い付いていない。厚生労働省は、虐待の通告から48時間以内に子どもの安全を確認すべきだとしているが、児童相談所は人手不足のために十分な対応ができない状況にある。

虐待の判断には、外傷の有無などを複数の検査で判断するしかない。虐待したと自分から申し出る親はいない。一方、医師は治療に専念して、背景にある虐待の可能性を見落としがちである。児童虐待に対応した経験が少ない小児科医も多いことも適切な診断ができない理由の一つである。研修も不十分であり、現場のレベルアップや行政の連携が必要である。

(2014年8月4日日本経済新聞夕刊)
(吉村 やすのり)

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