フリーズドライ体細胞によるクローンマウス作製

山梨大学の研究グループは、インスタント食品のような凍結乾燥技術で保存したマウスの体細胞から、クローンマウスをつくることに成功しました。液体窒素を使う現在の方法よりも低コストで、採取の難しい生殖細胞を使わずに遺伝資源を保存できるため、将来的には、絶滅しそうな動物を含めた生物多様性の維持につながります。
研究グループは、凍結乾燥する際の保護剤を工夫するなどして、マウスの尾などの体細胞を凍結乾燥させ、マイナス30度で最長9カ月保存しました。その後、この体細胞から遺伝情報が入った核だけを取り出し、核を取りのぞいた新鮮な卵子に移植する核移植を行うと、卵子は細胞分裂をはじめます。さらに、①分裂した細胞からES細胞(胚性幹細胞)をつくって培養、②増えたES細胞の核を新たな卵子に移植する、2回目の「核移植」を実施、③この卵子をメスの卵管に入れると、クローンマウスが生まれました。
体細胞は液体窒素を使って冷却し、凍結保存するのが一般的ですが、保存にはコストがかかります。このマウスは正常に成長して繁殖能力もあり、寿命も約2年と普通のマウスと変わらないことが確認されています。

 

(2022年7月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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