厚生労働省の国民生活基礎調査によれば、老々介護に当たるケースの割合は59.7%で、この10年間で14ポイント近く上昇しています。自宅で介護を担う家族らは、責任や悩みなどを抱えて孤立しがちです。介護する側の高齢化も進んでおり、体力の衰えに不安を感じている人も少なくありません。
日常的に会えなくても、ICTの活用で、介護者が抱える問題を共有し、事態の悪化を回避する工夫が始まっています。SOMPOケアが開発し、無料で提供しているのが、スマートフォンアプリのケアエールです。介護者と、離れて暮らす子どもや兄弟姉妹らが登録し、介護上の出来事や、喜び・不安といった心情を共有する仕組みです。写真や動画も送信でき、離れていても双方の様子を把握できます。
要介護者の血圧や体温、体重、食事量、服薬、排便など、日々の健康状態について記録するページもあります。要介護者の健康情報などの共有によって、離れて暮らす家族らが日々の介護に関心を高めるだけでなく、事態が悪化した際にお、速やかに協力する態勢づくりにも役立ちます。
(2022年8月3日 読売新聞)
(吉村 やすのり)